会社員だから学べることがある。
- ヤマモト高陽 編集部

- 8月5日
- 読了時間: 5分

― 今の環境を、本当に使い切っていますか。 ―
独立を考え始めると、「もっと自由に働きたい」「もっと自分らしく仕事がしたい」と感じる方は少なくありません。
その気持ちは、とても自然なことだと思います。
しかし、その前に一度だけ考えてみてほしいことがあります。

今の会社で、本当にやり切ったと言えるでしょうか。
「この会社では、もう学ぶことはありません。」
そんな言葉を耳にすることがあります。
営業として成果を出した。
担当サロンも増えた。
売上も上がった。
それは素晴らしいことです。では、その先はどうでしょう。
会社全体をより良くする提案をしましたか。
物流や事務の仕事を理解しようとしましたか。
メーカーが何を目指し、どんな想いで商品を世の中へ届けようとしているのか、その背景まで考えましたか。
後輩が成長しやすい環境をつくりましたか。
自分の経験を、会社の財産として残しましたか。
「やり切った」という言葉は、自分だけが決めるものではありません。
周りから見ても、「本当にやり切った」と言える状態になって初めて、その言葉には重みが生まれるのではないでしょうか。
一つ先、その裏側まで考える力

会社員だからこそ養える力があります。
それは、自分の仕事だけを見るのではなく、一つ先、その裏側まで考える力です。
メーカーは、今なぜこの商品を広めたいのか。
その背景には、どのような市場の変化があるのか。
サロンオーナーが「この商品が欲しい」と言ったとき、本当に求めているものは商品なのか。
それとも、お店が抱えている課題を解決したいのか。
物流は、なぜこの運用なのか。
事務は、なぜこの手順なのか。
一つひとつの仕事には、必ず理由があります。
その理由まで理解しようとする人ほど、仕事の見え方は変わります。
そして、
「もっとこうすれば、お客様に喜んでいただけるのではないか。」
「この部署と連携すれば、もっと価値を提供できるのではないか。」
そんな改善のアイデアが自然と生まれるようになります。
会社全体を見る力。
背景まで考える力。
これは会社員だからこそ磨ける、大きな財産です。これこそ会社員だから学べることではないでしょうか。
今の仕事は、本当に自分一人の力でしょうか。

営業を続けていると、「自分のお客様」という感覚になることがあります。
もちろん、その信頼関係を築いてきた努力は自分自身のものです。
しかし、その取引は本当に自分一人の力だけで成り立っているのでしょうか。
メーカー
物流
事務
会社が積み重ねてきた信用
そのすべてがあるからこそ、今の仕事は成立しています。
ここでもう一つ考えてみてください。
もし今日から自分が経営者になったとしたら、
今と同じ条件で販売できますか。
今までと同じ値引き。
今までと同じサービス。
その判断を、自分のお金で、自分の責任で、
本当に続けられるでしょうか。
会社員の立場では、「売上が上がるなら」と思えた判断も、経営者になると見え方が変わります。
商売は、利益を残して初めて続けることができます。
利益があるから、新しい提案ができる。
利益があるから、サービスを維持できる。
利益があるから、人を育て、物流を支え、新しい挑戦ができます。
もし利益を残せなければ、何のために仕事をしているのでしょうか。
目先の売上だけを追いかける仕事は、やがて商売の本質を見失います。
そして、自分自身も仕事の面白さを感じられなくなってしまいます。
さらに、その姿勢はメーカーからの信頼にもつながります。
利益を無視した販売。
ルールを逸脱した取引。
それが続けば、「この会社なら安心して商品を任せられる」という信頼は少しずつ失われていきます。
美容ディーラーは、サロンだけではなく、メーカーからも信頼されて初めて成り立つ仕事です。
だからこそ、
利益を残しながら価値を届ける。
この視点を会社員のうちから持つことが、とても大切なのです。
人としての土台を磨くー会社員だから学べることがあるー

会社で学べるのは、仕事だけではありません。
もっと大切なのは、商売をする人としての判断基準です。
現場では、価格の相談を受けることがあります。
その要望に応えることが、お客様のためなのでしょうか。
一時的には喜んでいただけるかもしれません。
しかし、その判断は本当に、お客様の未来につながるのでしょうか。
会社の未来につながるのでしょうか。
メーカーとの信頼を守れるのでしょうか。
商売は、一人では成り立ちません。
サロンが利益を残し、会社が利益を残し、メーカーも安心して商品を供給できる。
そのバランスが保たれて初めて、長く健全な取引が続いていきます。
だからこそ、営業に求められるのは、お客様の要望をそのまま受け入れることではありません。
お客様の希望と、商売として成り立つラインを見極めることです。
ときには値引きが必要な場面もあります。
反対に、「その条件では続きません」と伝えなければならない場面もあります。
その判断は、お客様だけを見ていてはできません。
会社の利益。
メーカーとの信頼。
将来も継続できる取引かどうか。
さまざまな立場を理解しているからこそ、初めてできる判断です。
会社員でいる今だからこそ、その判断基準を学ぶことができます。
そして、その経験は独立したときにも必ず生きます。
商売道徳とは、きれいごとではありません。
目先の売上ではなく、関わるすべての人が長く利益を残し続けられる判断を積み重ねることです。
営業力とは、値引きをする力ではありません。
お客様、会社、メーカー、それぞれが納得できる着地点をつくる力。
それこそが、本当の営業力ではないでしょうか。
おわりに

会社に残ること、独立すること、どちらが正解かではありません。
大切なのは、
どちらを選んでも通用する人になること。
今いる環境を、どれだけ学びの場として使い切れるか。
どれだけ一つ先、その裏側まで考えられるか。
どれだけ周りへの感謝を忘れず、正々堂々と仕事ができるか。
その積み重ねが、数年後の自分の価値を大きく変えていくのではないでしょうか。

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